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脂肪吸引は危険?死亡事故が起きる原因と、安全性を判断するための確認点を解説

脂肪吸引・脂肪注入の手術

投稿⽇:2026.08.21  最終更新⽇:2026.08.25

脂肪吸引は身近な施術として語られる一方で、国内でも死亡事故が報告されてきた手術です。危険性は施術そのものより、吸引量や麻酔管理、体制の問題として現れます

つまり、同じ脂肪吸引でも条件によってリスクの大きさはまったく違うということです。凹凸や左右差といった仕上がりの問題とは、分けて考える必要があります。

この記事では、重篤な合併症が起こる仕組みと、リスクを高める条件、安全性を判断するための確認点を整理します。

この記事を書いた人

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土屋雄登医師 | 美容外科・皮膚科 Rosa Beauty Clinic 名古屋院⻑

コンプレックスを抱えていた幼少期をきっかけに美容外科医になるも、美容業界の悪しき闇や現実を知る。『本気の美容医療』を正直に提供するために名古屋駅前に開院。
幼少期からクラッシック音楽、絵画等あらゆる美の文化に精通している。
韓国へ頻回に赴き技術研鑽を続ける。リフトアップ施術、目元施術、クマ施術、鼻施術、等すべてを高いレベルで提供する。

資格: アラガン認定医、美容外科学会認定医(JSAS)、韓国糸リフト・目元・鼻整形ディプロマ

確認したいポイント結論詳細
脂肪吸引は本当に危険?外科手術としてのリスクがあります国内でも死亡事故が報告されています。ただし条件によってリスクの大きさは大きく変わります。
何が原因で起こる?塞栓・麻酔・出血が主な要因です脂肪塞栓や血栓、麻酔薬中毒、大量吸引による循環への負担が挙げられます。
リスクが高まる条件は?吸引量が多いほど負担も増します複数部位を一度に行う、他の手術と同時に行うといった場合も注意が必要です。
何を確認すればいい?麻酔管理と経過観察の体制です誰が麻酔を管理するか、術後どれだけ観察するか、緊急時にどう対応するかを確認します。

この記事でわかること

  • 脂肪吸引の危険性を、仕上がりの失敗と分けて理解する視点
  • 脂肪塞栓・血栓塞栓・麻酔・出血という主要な合併症の仕組み
  • 局所麻酔薬の血中濃度がピークになる時間と、経過観察が必要な理由
  • 吸引量や部位数など、リスクを高める条件
  • 麻酔管理・経過観察・緊急対応という三つの体制の確認方法
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脂肪吸引の危険性をどう捉えるか

まず、何を危険と呼んでいるのかを整理しておきましょう。過度に恐れる必要はありませんが、軽視すべきでもありません。

これは外科手術である

脂肪吸引は、体内に器具を挿入して組織を取り除く外科手術です。麻酔を使い、出血も伴います。

美容目的であっても、手術としての性質は変わりません。日帰りで受けられることが多いため、負担が軽いと誤解されがちです。

この前提を持つことが、リスクを正しく捉える出発点になります。

合併症の発生率

海外の研究をまとめた報告では、合併症の発生率は数パーセント程度とされています。その多くは、血腫や漿液腫、むくみ、皮膚の問題といったものです。

命に関わる重篤なものは、そのなかでもさらに限られた割合です。つまり、多くの方は問題なく経過するというのも事実です。

確率の低さと、起きたときの重大さを分けて考えましょう。

仕上がりの失敗とは別の問題

凹凸や左右差、たるみは仕上がりの問題であり、命に関わるものではありません。一方で、塞栓や麻酔事故は生命に直結します。

この二つは原因も対策もまったく異なります。危険性を調べる際は、どちらの話なのかを意識しましょう。

本記事では、後者に絞って整理していきます。

危険①脂肪塞栓症候群

脂肪吸引に特有の合併症として、まず挙げられるものです。仕組みを知っておきましょう。

何が起こるのか

吸引の際に傷ついた血管へ脂肪成分が入り込み、血流に乗って移動します。それが肺の血管に詰まると、呼吸不全などの重篤な症状を引き起こします。

脳などの臓器に詰まる場合もあります。発症すると急速に悪化することがあり、緊急対応が必要になります。

頻度は高くありませんが、死亡につながりうる合併症です。

吸引量が多いほどリスクが上がる

一度に大量の脂肪を吸引するほど、血管が傷つく範囲も広がります。手術時間が長くなることも、負担を増やす要因になります。

そのため、吸引量が多くなると見込まれる場合は複数回に分ける方針もあります。一部位あたりの吸引量を控えめにするという考え方もあります。

一度で最大限という発想が、リスクを押し上げます。

予防のための考え方

十分な輸液を行うことが、塞栓のリスクを下げるとされています。術後に長時間同じ姿勢でいることも、リスクを高めます。

適度に体を動かし、こまめに水分を取ることがすすめられます。術後の安静と、動くことのバランスは医師に確認しましょう。

息苦しさや胸の痛みを感じたら、直ちに連絡してください。

見逃してはいけないサイン

術後に息苦しさ、胸の痛み、意識がもうろうとする感覚があれば緊急です。発熱や、急に脈が速くなるといった変化も注意が必要です。

通常の経過であれば、症状は日を追って軽くなっていきます。悪化していく変化は、自己判断で様子を見るべきではありません。

受診の目安を、術前に確認しておきましょう。

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危険②血栓塞栓症

脂肪ではなく、血のかたまりが原因となるものです。脚の手術では特に注意が必要です。

深部静脈血栓症と肺塞栓

脚の深い静脈に血のかたまりができ、それが肺に流れて詰まる状態です。主に片方の膝から下に、発赤や腫れ、痛みが現れます。

肺に詰まると胸痛や呼吸困難、失神といった症状が出ます。手術を受けた後は、この血栓ができやすくなることが知られています。

片脚だけの変化は、重要な手がかりになります。

圧迫の仕方も要因になりうる

術後の圧迫は必要ですが、方法によっては血栓塞栓症を招く可能性も指摘されています。学会の資料では、脂肪吸引専用の圧迫着を使うことがすすめられています。

市販品を自己判断で代用すると、圧のかかり方が適切でない場合があります。指示された製品と着用方法を守ることが大切です。

圧迫は強ければ良いというものではありません。

術後の過ごし方

長時間同じ姿勢でいないこと、こまめに足を動かすことが予防になります。かかとの上下運動や、短時間の歩行が推奨されています。

適度な水分補給も、血液の流れを保つうえで有効です。喫煙は血液を固まりやすくするため、前後の期間は控えましょう。

予防策は地味ですが、確実に意味のあるものです。

リスクが高い人の条件

高齢の方、肥満のある方、がんの治療中の方などはリスクが高いとされています。経口避妊薬を服用中の方や、過去に血栓を起こした方も含まれます。

血が固まりやすい体質の方も、事前に伝えておく必要があります。こうした情報は、問診で必ず共有しましょう。

隠したまま手術を受けることが、最も危険な選択です。

危険③麻酔に関わるもの

死亡事故の背景として、麻酔管理の問題が挙げられることがあります。仕組みと必要な体制を確認しましょう。

局所麻酔薬中毒

脂肪吸引では、麻酔液を脂肪層に大量に注入する方法が用いられます。この麻酔液に含まれる薬剤の血中濃度が高まると、中毒症状が起こりえます。

初期にはしびれや耳鳴り、意識のもうろうといった症状が現れます。進行すればけいれんや呼吸抑制、心停止に至ることもあります。

注入量と濃度の管理が、安全性を左右します。

血中濃度は約2時間後にピークを迎える

学会の資料では、局所麻酔薬の血中濃度がピークになるのは約2時間後とされています。そのため、最低2時間以上の経過観察が必要と指摘されています。

手術が終わってすぐ帰宅すると、この時間帯を院外で過ごすことになります。帰宅後に症状が出た場合、対応が遅れる可能性があります。

術後にどれだけ院内で経過を見るのかは、必ず確認したい項目です。

参考:一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS)学会誌掲載資料

静脈麻酔・全身麻酔の管理体制

眠っている間に行う麻酔では、呼吸と循環の管理が不可欠です。誰が麻酔を担当し、術中どのように監視するのかを確認しましょう。

生体情報モニターや救急用の設備が整っているかも重要です。執刀医が麻酔も兼ねる場合、両方に注意を割くことになります。

麻酔科の医師が関与する体制かどうかは、判断材料のひとつです。

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危険④出血と循環への負担

吸引量が増えるほど、体への負担も増していきます。見落とされやすい視点です。

大量吸引による負担

脂肪と一緒に、一定量の血液や体液も体外へ出ていきます。吸引量が多くなるほど、循環が不安定になるリスクが高まります。

血圧の低下やショック状態に至る可能性も指摘されています。複数部位を一度に行う場合、この負担は積み重なります。

手術時間の長さも、同じ方向に働きます。

貧血や輸血に至った例もある

国内では、脂肪吸引後に貧血を起こし輸血に至った事例も報告されています。術後の血腫が大きくなれば、その分だけ失われる血液も増えます。

術前の血液検査で、貧血の有無を確認しておくことが前提になります。もともと貧血気味の方は、リスクが高まる可能性があります。

術前検査を省略する提案には、慎重になる必要があります。

吸引量の上限という考え方

一度に吸引する量には、安全上の目安が設けられています。その量を超えると見込まれる場合、手術を分ける対応がとられます。

また、大量で広範囲の吸引では入院が必要という指摘もあります。日帰りを前提にどこまで行うのかは、確認したい項目です。

上限を示せるかどうかが、安全への姿勢を表します。

体重を減らす手術ではない

脂肪吸引は、体重を大きく減らすための治療ではありません。特定部位のラインを整えることが目的の施術です。

減量を目的に大量吸引を求めると、リスクだけが増します。肥満そのものへの対応は、別の枠組みで考える必要があります。

目的と手段がずれていないかを、確認しておきましょう。

危険⑤感染と組織の損傷

頻度は低いものの、重篤化しうる合併症です。順に確認しましょう。

感染

器具を体内に挿入する以上、細菌が入り込む可能性はゼロにはなりません。広範囲を吸引した場合、感染が起きたときの範囲も大きくなります。

発熱や強い痛み、傷からの分泌物があれば早急に受診してください。術前の抗生剤投与や、器具の滅菌体制も確認したい項目です。

重症化すれば、入院治療が必要になることもあります。

皮膚の壊死

浅い層を過度に吸引すると、皮膚への血流が損なわれることがあります。血流が届かなくなった部分は、壊死に至る可能性があります。

その場合、傷跡が残る処置が必要になります。喫煙は血流を悪化させるため、この観点でも控えるべきです。

皮膚の色が変わる、冷たく感じるといった変化は要注意です。

内臓や神経の損傷

腹部の吸引では、器具の操作を誤ると内臓を傷つける可能性があります。国内でも、この種の損傷から死亡に至り刑事事件となった例があります。

また、部位によっては神経を傷つけるリスクもあります。感覚の鈍さやしびれが長く続く場合は、相談が必要です。

解剖の理解が、そのまま安全性につながる部分です。

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リスクを高める条件

同じ手術でも、条件によって危険度は変わります。自分に当てはまるものがないか確認しましょう。

一度に複数部位を行う

部位が増えるほど吸引量も手術時間も増え、体への負担が積み重なります。一度で終わらせたいという希望が、リスクを押し上げることがあります。

回数を分ければ費用や休みは増えますが、安全性は高まります。どこまでを一度に行うのかは、慎重に決めるべき部分です。

分ける提案ができる医師のほうが信頼できます。

他の手術と同時に行う

脂肪注入や他の施術と組み合わせると、麻酔時間も負担も増えます。セットで割引になるといった提案には、安全性の観点も含めて判断が必要です。

同時に行う理由が、患者側の利益にあるかを確認しましょう。手術時間の長さは、塞栓や血栓のリスクに直結します。

効率と安全性は、必ずしも一致しません。

持病と術前検査

心臓や肺の疾患、血が固まりやすい体質などはリスク要因になります。経口避妊薬を服用中の方も、血栓ができやすいことが知られています。

妊娠中や出産直後も注意が必要です。これらを把握するために、術前の血液検査と問診が行われます。

検査を省く、持病を確認しないという進め方は避けるべきです。

安全性を判断するための確認点

危険性を減らすためにできることは、事前の確認に集中しています。具体的な項目を挙げます。

麻酔を誰がどう管理するか

どの麻酔を使い、誰が管理するのかを必ず確認しましょう。術中のモニタリング体制や、使用する機器についても聞いておきます。

麻酔科の医師が関与するかどうかは、大きな判断材料です。麻酔の説明が曖昧なまま話が進む場合は、立ち止まりましょう。

費用に麻酔管理が含まれるかも、あわせて確認します。

術後にどれだけ経過を見るか

局所麻酔薬の血中濃度は約2時間後にピークを迎えます。そのため、術後すぐ帰宅する運用には注意が必要です。

何時間院内で経過を見るのかを、具体的に確認しましょう。大量で広範囲の吸引では、入院が必要とされる場合もあります。

日帰りかどうかは、吸引量と体制の両方から判断されるべきです。

緊急時にどう対応するか

容態が急変した際に、どのような対応ができるのかを確認しましょう。救急用の設備や薬剤が備えられているかも重要です。

近隣の高度医療機関との連携があるかも聞いておきます。術後に異変を感じたとき、すぐ連絡できる窓口も必要です。

夜間や休日の対応がどうなっているかも確認しておきましょう。

吸引量に上限を設けているか

一度にどこまで吸引するのか、その方針を聞いてみましょう。上限を超える場合に手術を分けるという説明があれば、安全への意識がうかがえます。

できるだけ多く取るという方針には、慎重になる必要があります。顔など吸引量が少ない部位は、相対的に負担が小さくなります。

自分が受けようとしている範囲の負担を、具体的に確認しましょう。

頬の脂肪を取るバッカルファット除去について詳しくはこちら

まとめ|危険度は条件で決まる

最後に、押さえておきたい要点を整理します。

脂肪吸引は外科手術であり、国内でも死亡事故が報告されてきました。脂肪塞栓、血栓塞栓、麻酔薬中毒、大量吸引による循環への負担が主な要因です。

感染や皮膚の壊死、内臓の損傷といった合併症もあります。多くの方は問題なく経過しますが、確率の低さと重大さは別の話です。

凹凸や左右差といった仕上がりの問題とは、分けて考えましょう。

吸引量が多いほど、部位が増えるほど、リスクは積み上がります。麻酔を誰が管理するか、術後何時間経過を見るかは必ず確認してください。

局所麻酔薬の血中濃度は約2時間後にピークを迎えるとされています。緊急時の対応体制と、吸引量の上限に対する方針も判断材料になります。

不安が残る状態で進めず、まず医師の診察で率直に質問することをおすすめします。

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